年度の保全計画は、長年の担当者が組み立てている。中身は妥当でも、「なぜその設備を先にやるのか」を聞かれると、経験としか答えられない。困るのは計画の質ではなく、その理由が引き継げないことです。計画が経験に依存する4つの理由をほどき、記録を根拠に組み立てる方法を、実際の画面とあわせて解説します。
保全計画が経験に依存するのは、判断が間違っているからではなくその根拠が記録として残っていないから。蓄積した記録を切り口を変えて確認し、数字の内訳まで辿れる状態をつくることが、計画の理由を引き継げる形にします。
計画の根拠が担当者の頭の中にあり、「なぜその順番なのか」を説明できない。前年の計画をそのまま引き継ぐしかない。
対象・期間・切り口を選んで故障件数を確認し、その内訳になった記録まで辿る。優先順位の材料を記録から取り出す。
計画の理由を、記録で説明できるようになる。担当者が変わっても同じ材料をもとに計画を見直せる。
保全計画そのものは、たいてい妥当です。問題は、その妥当さを説明できるかどうかです。
長く現場を見てきた担当者が組み立てた計画には、経験に裏づけられた判断が入っています。あの設備は年数が経っている、あのラインは負荷が高い、去年あそこで止まった。どれも正しい判断材料ですが、その多くは記録ではなく記憶として存在しています。
そのため、計画の理由を聞かれたときに示せるものがありません。予算の説明を求められる場面でも、上長や他部門に納得してもらう材料が足りません。そして担当者が変わると、計画だけが残り、理由は残りません。
現場でよく挙がる要因を整理すると、次の4つに分かれます。いずれも「判断の根拠が記録として残っていない」という一点でつながっています。
どの設備が止まりやすいか、どこに手を入れると効くか。長年の観察から得た判断は、その人にとっては明らかでも、外からは見えません。本人も「経験としか言いようがない」と感じていることが少なくありません。
説明できないことが、その判断の価値を下げてしまいます。
故障記録も点検記録も残っています。ただ、計画を立てる時期にそれらを集計して読む時間がありません。数える作業に時間がかかると分かっているため、最初から使う前提になりません。
記録は「あとで見るもの」のまま置かれ、計画は経験で組まれます。
毎年ゼロから組み直す余裕はないため、前年の計画を土台にして微調整する形になります。土台になった判断がいつ・何を根拠に決まったのかは、年を重ねるほど分からなくなります。
状況が変わっても計画が変わらない、という状態が生まれます。
引き継ぎで渡せるのは、計画表と作業手順です。「なぜこの順番なのか」は口頭で補うしかなく、時間の制約の中では十分に伝えきれません。受け取った側は、理由が分からないまま前年どおりに実行することになります。
世代交代のたびに、判断の質が下がるリスクが残ります。
計画の妥当性が、特定の人の在籍に依存し続けます。その人が異動・退職すれば、計画は形だけ残って理由は失われます。予算や停止時間の確保を求める場面でも根拠を示せず、必要な対策が後回しになります。記録は増え続けるのに、判断には使われないままです。
Fixeyの「故障データ分析」は、蓄積した記録を、計画づくりの材料として取り出せる形にします。
計画そのものを自動で作る機能ではありません。優先順位を考えるための材料を、記録から短時間で取り出すための仕組みです。数字だけでなく、その内訳になった記録まで辿れるため、判断の理由をそのまま説明に使えます。
どの範囲を、いつからいつまで、どの切り口で見るかを選びます。工場・ライン・設備・部位・原因といった切り口があるため、計画を組む単位に合わせて確認できます。
選んだ条件での件数がグラフで表示されます。数の多い設備が並ぶことで、経験で感じていた順番を数字と突き合わせられます。感覚と数字が一致すれば根拠が加わり、ずれていれば見落としに気づけます。
件数の内訳になった記録を一覧で確認できます。日付・現象・原因まで辿れるため、「この数字は何を数えたものか」を確かめたうえで計画に反映できます。説明を求められたときも、同じ画面で根拠を示せます。
件数の多さだけでなく、同じ部位が繰り返しているかどうかも計画の材料になります。予防・予兆保全支援とあわせて使うと、相談したいことを言葉で入力するだけで、繰り返しの多い部位を整理して受け取れます。なお、設備の状態を常時監視して予兆を自動で通知する機能は、現時点では提供していません。
「なぜその設備を先にやるのか」に、件数と記録で答えられるようになります。予算や停止時間の確保を求める場面でも、判断の材料をそのまま示せます。
判断の根拠が記録として残るため、担当者が変わっても同じ材料をもとに計画を組み直せます。引き継ぎで渡すのが計画表だけ、という状態から抜け出せます。
前年の計画をそのまま引き継ぐのではなく、最新の記録で確かめ直してから調整できます。状況の変化を計画に反映しやすくなります。
| 項目 | Fixey 導入前 | Fixey 導入後 |
|---|---|---|
| 計画の根拠 | 担当者の経験と記憶 | 記録から取り出した件数と内訳 |
| 説明のしかた | 経験としか答えられない | 根拠になった記録を示せる |
| 引き継ぎ | 計画表だけが残る | 同じ材料から組み直せる |
「保全計画が経験に依存する」に対しては、次の2つの機能が中心になります。
Fixeyは必要な機能だけを選んで導入できます。すべてを入れる必要はありません。
相談したいことを言葉で入力すると、過去の記録から繰り返しの多い部位を整理してお返しします。整理の根拠になった記録も確認できます。設備の状態を常時監視して予兆を自動で通知する機能は、現時点では提供していません。
機能の詳細を見る →原因は同じ「判断の根拠が記録として残っていない」ことにあります。
計画の属人化は、傾向のつかみにくさや故障の再発、部品の廃番の見落としとつながっています。近い課題もあわせてご覧ください。
この課題について、よくいただくご質問。
実際にお使いの故障記録を取り込み、計画の材料としてどこまで取り出せるかをご確認いただけます。対象データや検証したい業務を伺ったうえで、トライアル環境をご用意します。